おとなの文化村(539) 南蛮文化館 矢野孝子さん
今夜のお客様は「南蛮文化館、館長(理事長・学芸員)矢野孝子さん」です。
矢野孝子さんは昭和23年、1948年大阪太子町で生まれ中津で育たれました。生家の北村家はかつて中津一帯に土地を保有する地主でしたが、大阪空襲で生家は壊滅、学徒動員で出征した満州から帰国した父芳郎さんは、家の再建や相続でたいへん苦労されたそうです。もともと大学で日本史を学び、東洋と西洋の交流史に関心か高かった芳郎さんは、40歳のころから南蛮美術品の収集を始められます。そして昭和43年、1968年、念願だった私設美術館「南蛮文化館」を阪急中津駅前にオープン。孝子さんはお父様の期待にこたえるべく、帝塚山学院大学で美学、美術史を専攻して学芸員の資格を取得、お父様の志を継いで理事長・学芸員として館の運営に取り組んでおられます。気温と湿度が大切な展示品に影響を与えないよう、当初から気候のいい5月と11月の2ヶ月間に限って開館している「南蛮文化館」。重要文化財の「南蛮屏風」や、福井市の旧家からみつかった「悲しみのマリア像」など貴重なコレクションの数々を見に訪れる熱心なファンに支えられ、本年開館50周年を迎えられました。いったん散逸すると二度と系統立てた収集は不可能なものがこれら美術品。私設美術館の維持に苦労されながらも、お父様を誇りに思い日々活躍する孝子さんの思いをたっぷりお伺いしたいと思います。