045 インタビュアーの心得は…

受験シーズン真っ只中!今回は読者の皆さんに問題です。次の漢字の正しい読み方は?①出生届 ②間髪をいれず ③花魁 ④娑婆 ⑤船渡御…。

これは約10年間DJアカデミーを開講していた時に、オーディションで出した問題の幾つかで、毎日放送発行「まちがいやすい放送のことば」から参考にさせてもらったもの。(アナウンサーやリポーターやDJ、お喋りを生業にしているプロが間違いやすい言葉集から出題)

で、

①“しゅっせいとどけ”…ではなく“しゅっしょうとどけ”

②“かんぱつをいれず”…ではなく(へぇ~ェ⁉という声が聞こえてきそう)正解は“かんはつをいれず”

③“おいらん”(位の高い遊女)。回答用紙で多かったのが“かれん”“かびん”“はなさきがけ”

④は色々な回答があって面白かった“ばあ”“ま~ぼ”“おばあ”“さんば”“ろうば”“ばば”正解は“しゃば”(この世、俗世間のこと)

⑤は関西人なら常識の筈なのに“ふなとぎょ”(天神祭の祭礼の1つ…船の航行)

如何ですか⁉これをDJアカデミーの1回目のレッスンで答え合わせ…トンチンカンな答えに教室は爆笑に包まれましたっけ。

さて、クラシックの演奏家で読み間違いしそうな(とちりそうな)アーティストの代表格…名指揮者“ゲンナジー・ロジェストベンスキー。(正しくは…ゲンナジー・ロジュジェストヴェンスキー、またはロジュデストヴェンスキーとなる。舌が絡みそうなので以下、略して“ロジェヴェン”)

1983年、ソヴィエト国家文化省は国中の若手腕っこきを集めたオーケストラをロジェヴェンにプレゼントしました。(その心はこの名指揮者を亡命させないための国家戦略…その後ソヴィエト崩壊に伴ない自然消滅)そんなオケを率いて来日したのがロジェヴェン55歳の1986年。FM大阪は7月14日のフェスティバルホールでの公演をデジタルライブ収録することになりました。

曲はチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番。ピアノ独奏がロジェヴェンの奥さんでありピアニストのポストニコアさん。(以下ポストさん)プロデューサーのヨッサンは収録準備とインタビューの掛け持ちで大忙し。まずロジェヴェンにインタビュー、そのあとにポストさんにお話しを伺う段取りに。

(ここはグランドホテルのカフェ…ヨッサンがロジェヴェンにマイクを向けている間に、N新聞のT記者がポストさんを取材している)◎このオーケストラの魅力について◎夫婦で協・饗・共・競演する楽しみとは?◎ソヴィエトのオケが何故音が大きいのかの質問に“国が大きいからじゃないでしょうか‼?”笑いとともに和気藹藹の雰囲気がコーヒーの香りに溶け合っていきます。

その時、ポストさんが…“ありゃ、あっ‼”立ち上がって、席をけって立ち去るではありませんか⁉(こんなことはシナリオには書いてないぞ~?)

それは何故か?原因はN社のT記者は、奥さんのポストさんがピアニストだとは知らなかったのです。“奥さんも、何か演奏なさるんですか?”こんな質問をしちゃ誰だって怒るわいな。インタビューに予備知識がいかに必要なことか‼

数時間後、フェスティバルホールの楽屋で、ポストさんとヨッサンの笑い声の絶えないインタビューが始まったのは言うまでもありません。ポストさん曰く「ロシアの諺に“よいものから、よいものが、よく生まれるんです”」そう!相手の気持ちになれば、よいインタビューが生まれるってことでしょう。“ラーメンとインタビューは即席では味気ない‼”を痛感。

N社を卒業したTさんは(何故か今も)音楽ジャーナリストとして活動中。(あれからも、記者会見でトンチンカンな質問をよくなさる)(よしかわ・ともあき FM大阪くらこれ企画プロデューサー)

045rojet

名指揮者のロジェストベンスキーにインタビューするヨッサン(1986年)

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