059 頭が下がる2つのコンサート 小山実稚恵②

“賀茂川の水、双六の賽、山法師、これぞ我が御心に叶わぬもの(意のままにならない)”とは白河の院のお言葉だっけ⁉(平家物語)この言葉と同じように、いつも…というか、いつまでも、これからも頭が上らないうちのカミサンが、やたら読書家になっています。台所のテーブルには「日本の原発あなたの隣にあるリスク」「誰も書けなかった日本のタブー…金と権力で隠される東電の闇」「原発とプルトニウム」それに「いのちを守る地震防災学」等々。ヨッサンが疲れ果てて帰るやいなや“マスコミはなにやってんの⁉東電に頭あがらんの⁉菅おろしやってる場合ちゃうやんか‼非常時に海外ゴルフやて、それも地震対策本部の要職にある政治家やて。ホンマ、身銭切って復興支援に立ち上がる政治家おらんのかいな!!?”連射砲のように飛び交う…頭が痛いような、頭が下がるような…。

頭が下がる…といえば、前々回にご紹介した日本を代表する名ピアニスト小山実稚恵さん。5月10日から15日まで、生まれ育った東北(岩手、宮城)各地(6箇所)を訪ねて慰門コンサートをやり遂げた(いな、これからも続ける)。10日の釜石市立双葉小学校では、双葉小の児童と校舎が被災して双葉小に避難している鵜住居小学校の児童、それに鵜住居小学校から小佐野小学校に避難している児童、先生や、保護者、地域の方々約700名。ショパンの“ノクターン第2番”(映画「愛情物語」の主題曲として有名)から始まり、“小犬のワルツ”や“エリーゼの為に”、最初は少しざわついていた子供達も“トルコ行進曲”あたりから皆がジ~ッと集中して聴き入り、最後は食い入るように聴いてる…音楽の素晴らしさを噛み締めながら…。

小山さんは演奏衣装をどうしようか考えました。いつものステージ用ドレスよりも、少し華やかな私服がいいかな?と思っていましたが、校長先生から“学校の式(式典、行事)の時は、この状況でも、一張羅のスーツを着て、平常通りに執り行うんです。平常通りに行うということが、とても大切なのでドレスにして下さい”と言われたそうです。なんと重みのある言葉でしょう。家族や家をなくし、過酷な状況にある被災地の方々が前向きに、ひた向きに未来に向かって進んでいるのです。

いつものコンサートでは非常にピアノにこだわる小山さんは、慰問コンサートではそれは二の次。グランドピアノ(というか、少し短い)セミコンがなければ…アップライトピアノでも厭わない。これも指定調律師杉浦勝之さんがボランティアで調律を仕上げてくれるお陰です…次回は6月14日石巻市の小学校と病院で。

…その2日前の6月12日に、これまた頭が下がる思いの12年間全24回リサイタルシリーズ「小山実稚恵の世界“ピアノで綴るロマンの旅”」が控えています。今回は第11回“研ぎ澄まされる耳、指先”(いずみホールで午後2時から)何で12年、24回なのか…小山さん「私の頭にあったのは“平均律”…1オクターブ12音それぞれの音に長調と短調があるでしょ!だから12かける2で、24。これがプログラムの骨子なんです。で、1日は12時間が2回で24時間。1年は12ヶ月、12の星座があり、干支は12年で一回りするでしょ。12と24は人間にとって何だか重要な意味を持っていると思いませんか⁉で、音楽も調性の出発点はC(ド)に始まってCで終る。この24回のリサイタルもハ長調で始まって最後もハ長調で終るんですヨ」。いやはや…頭がしびれそう…もとい、頭が下がります!!?

ヨッサンはこれまで10回すべて聴きにいきました…全24回完聴すると小山さんに宣言しました!(よしかわ・ともあき FM大阪くらこれ企画プロデューサー)

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上=仙台市の六郷市民センターを訪問し演奏する小山実稚恵さん(5月14日)

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小山さんのCDジャケット

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