112「世界一の吹奏楽団」大阪市音と共に 宮川彬良 ④

いつもは、な~んにも感じていなかった空気が途端に美味しくなった。地下鉄「森之宮駅」1番出口を上がると…そこは溢れる木々の緑の森…どこからともなく和音がこぼれてくる…近づけば近づくほどに心地よい響きとなって。ここが大阪市音楽団の練習会場。都会のオアシス、穴場なら嬉しい話だけど、そうも言ってられない…大阪市音がやばいのだ!!?

その大阪市音とは1997年からのお付合い…大阪人になりきろう、同化しようと努力。けったいなイントネーションの大阪弁が、会話のそこかしこから漏れてくる…作曲家・編曲者・指揮者・司会者、宮川彬良。彼は大阪市音楽団を“世界一の吹奏楽団”と言い放った‼

M:宮川彬良   Y:ヨッサン

M「そうです!2年前にブラス・ウィークと言う催しがあったんです。そこに(日本の)3大吹奏楽団が終結して、日替わりでコンサートをしたんです」

Y「 3団体?東京佼成ウィンド」

M「シェナウィンドと我らが大阪市音楽団‼したらね(そしたら)僕は(他のブラスは)聴けなかったけど、とっても評判よかった。“これが音楽じゃないか‼”って、凄い評価を頂いて。

5月5日に大阪野音で無料で、「ゴー!ゴー!市音」って応援するコンサートをやった時(大阪民主新報5月13日付参照)に、丸谷先生(淀川工業高校吹奏楽部顧問)が来て下さり、成る程ってことを仰った。“これが音楽、これだけの上手い人達が全く手を抜かずに、腕に溺れることなく、一丸になって(指揮者に)かかってくる!これが大阪の音や‼”と。

いや~僕が感じてたままですね。どうして、この人達(楽団)は一生懸命なんだろう…一つの音に対して、“練習してくれ、練習してくれ”って言うんですよ。何で、こんなに、この楽団は音楽に打ち込むんだろう⁉ホント不思議になるくらい…」

こんな台詞を他のオーケストラに聞かせたいワ。

世界的に有名なあるオケは若造指揮者だと練習中にパンをかじってた話は有名だし、ヨッサンが目の当たりにしたのは、30年前、フェスティバルホールの下手に大きな時計がセットされた。ワシントンナショナル交響楽団のリハーサルがスタートする直前、針をゼロに…な、なんとリハの時間をチェックして、オーバーしたら超過手当てを要求するんだとか。どうやらリハが大好きなオケはなさそうなのに…市音のこの熱意。

Y「さて、これからの大阪市音の行方やいかに⁉」

M「今度、大阪市音を引っさげて東京へいくんですよ‼全国の問題にしたい訳。“この類まれなるオーケストラを聴いて下さい。こういう音が出るってことは、どういうことですか⁉”という問いかけをしてみたいんですよ‼」

Y「昨日(オケが)出来て、今日こんなんやとちゃうねん」

M「そういうことを行政がやってきたことは、どう評価します??こう言ってきたいの。全国のモデルにしたいんですよ!モデルに‼」

その「証」がこのCDに。昨年11月の宮川指揮・大阪市音の定期演奏会ライブアルバム『欲望という名の電車』。リロイ・アンダーソンの「トランペット吹きの休日」や「宇宙戦艦ヤマト」などなど。

驚異のサウンドを堪能した貴方は、きっと痛感することでしょう…このジャケットの市電のように市音も走り続けなければいけな‼と。

大阪市音は市から給料をもらっている公務員だ。朝の8時半から、コンサートの準備。チラシ、ポスター、パンフレットの制作、チケットの手配やらなんやら…事務をやって朝10時から練習。夕方(練習が)終わってまた事務。こんな真摯なオケが大阪市にあるんかいな⁉

90年前に大阪市は粋な計らいで素晴らしい事業を始めた。その大阪市が(もうける、もうからない、客が多い、少ない)…数の論理で消滅させようとしているのだ。(よしかわ・ともあき FM大阪くらこれ企画プロデューサー)

112miyagawa

宮川彬良指揮・大阪市音楽団のCDジャケット

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