142 CMソング創作王秘話 キダ・タロー ②

なにわのヨッサン とっておきの【音楽交遊録】・・・・吉川智明(142

アイディアや企画っていうのは机と(パソコンを)にらめっこしていても浮かんでこない。

前回の原稿を書き終えて…トイレに座りながら音楽評論家・宇野功芳先生の“クラシック推薦本”をゆったり?眺めていたら…出てきたぞ!(もとい…閃いた)“せや!宇野先生が神戸市混声合唱団を指揮した元祖モーツァルトのミサ曲のライブCDがある。そや!こないだ合唱団のM団長から、な、なんとあの名合唱団が浪花のモーツァルト・キダ・タロー作品(たった3・8秒のCMソングを含む)を歌ったCDが送られてきたっけ。ほんなら同じ合唱団で聴く元祖と浪花の対決‼を番組で特集出来るやん!うん‼”

さてさて、今週も主人公は浪花のモーツァルト・キダ・タロー先生。

よくぞ、あれだけのCMソングをお書きになったもんや。(呪文唱えたらパッとCMソングが出来るんちゃうか??!)“カニ道楽”“いずもや”“千房”“ナニワ商会”“おき宗(履物)”…結構、ミナミのお店も多い。先生曰く「道頓堀界隈はほとんど書いたんちゃうやろか」

そんなCMソングは誰が(キダ先生に)頼みに来はるんやろか⁉

K「私の場合は放送局がCMを募集して、ちょっと格安で、歌う方が東西一流の方並べて(デュークエイセス、仲宗根美樹、ボニー・ジャックス…)これでどや⁉ちゅうて、全国から応募があったんですよ。東京の作曲家と大阪は私一人で、わ~っと作ったんです。大阪もんシリーズはみんなそういう作り方です!」

ちゅ~ことは、今、先生に作曲を依頼したら…

K「(昔の)そのルートは現在失くなってますねん。だから正当な価格になってしまいますね。当時は格安の値段でワンクール(3ヶ月)流してなんぼ、ツークールでなんぼ…、皆さんが、そりゃ安いやん!ゆうて、どんどんどんどん(注文が)きましたヨ‼でも一杯書いたけど、一杯忘れました⁉」

こんな話があります。

Q:一番短いCMで?

K「3・8秒…“有馬兵衛の向陽閣へ”まず、注文は1番から3番までの歌詞が私んとこへきまして、これは常識ですけど、5秒、10秒、15秒、20秒、30秒…と、それぞれ割り振って、こっちが書くわけです。お出しになるのは短くても、本当は3番まで書いとるんです。有馬兵衛も…あのあとも??…そうでっせ‼あるんです…3番まで」。

いや~知らなんだ。キダ先生もそのあとは忘れてしまったとか。

さ~て、CMソングを作るに当たって、どんなお店なのか事前に行きはるのか聞いてみると…

K「プロの(歌詞を書く)詩人が、その店にまず行くんです。たとえば、カニ道楽に(詩人が)行きますと“うちは、とれとれぴちぴちが売りでんねん”と向こうがおっしゃいますね。それを詩人が頭の中に叩き込む。カニ道楽の名前は“うちはカニの網元が本家でんねん。それでカニ道楽やってるだけで、別にカニ道楽は大きゅうゆうてもらわんで結構です。そういうお話が詩人と企業の間である訳です。詩人がそれを聞いて、完璧なもんに仕上げて、私とこへきます。もう私が2度調べすることがない訳で、その詩をみて、〝背中まで見るような気持ちで”ぱ~ッと詩をみまして〝(そこの)社長になったつもり”で書きます!そやないと書かれへん…」

これぞプロ魂‼ほんでCMソング作曲料はおいくらぐらいなんでしょうか⁉聞くのんを忘れてしもた‼

1月27日元祖モーツァルトの誕生日…ヨッサンのクラシック番組では“元祖対浪花の歌声特集”がオンエアされたのであります。音楽評論家・指揮者“宇野功芳”先生と“キダ・タロー”先生はともに1930年生まれ…これぞ奇遇か合縁奇縁か⁉(よしかわ・ともあき FM大阪くらこれ企画プロデューサー)

142guitar

浪花のモーツアルト、キダ・タローさん

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