174 夢は武道館ライブ NAOTO②

初志貫徹…この言葉の重みを痛感したのは、カレー博士?のヴァイオリニストNAOTO(40歳)。ポップスを軽やかに、自由に表現し、クラシック音楽のお堅いイメージを払拭するあの金髪姿や、ジャンプしたり、ヴァイオリンを弾きながらブリッジ(仰向けになって腰を浮かす)を披露したり。そんな彼は小学校の頃から“ヴァイオリンのプロになるねん”と大志を抱いたのです。そのプロセスとは⁉

N:NAOTO Y:ヨッサン

Y「なんで高校は東京芸大附属な訳??!」

N「大阪やったら・・・当時夕陽丘高に音楽科もまだなかったし、京都の堀川行くか!っていう話だったんですけど、“僕、東京でひと旗勝負したい‼”と思ったのと、国立じゃないとウチの台所事情では行けなかったので」

Y「もし、夕陽丘高の音楽科がはよ出来とったら、今頃“おい後輩!”や」N「ハ、ハ、ハ…そうですね」

Y「で、ご両親は?」N「大反対。“ウチの家計では東京に出すのは無理や、15歳で1人暮らし出来るんか⁉”って言われて」

Y「ほんで、どないしたん??!」N「初めて親の前で“土下座”しましたね」許した親御さん“あんたは偉い‼”

Y「で、東京芸大の1年か2年で“ボーヤ”をやったん⁉」N「そうですね、19歳ぐらいから“G―クレフ”の」

Y「それをやってなかったら今のNAOTOはない訳や‼」N「ないですね‼」

*“ボーヤ”:日本昔話の“坊や~♪”ではありません。バンドボーイ…楽器の手配から運搬、セッティングから雑事にいたるまで。付き人のような坊や。

運も実力のうち…N「スタジオミュージシャンのライブにも参加。“イエロー・モンキー”さんのライブ中にマイクトラブルがありまして、僕はセカンドヴァイオリンを弾いてたんですが、ソロを弾いてらっしゃったファーストヴァイオリンのマイクが生きてなかったもんで、僕が代わりに弾かないといけなくなり、アドリブで8小節か16小節か弾いたら、お客さんが“グワァ~~”っと盛り上がった。“あッ、これはこういうジャンルがあるんや”と思って…ゾクゾクっとしました。(それが今のスタイルの)決め手です」

クラシックなら途中で拍手なんて考えられへんもんネ。そして熾烈な世界…

N「後ろ(バックミュージシャン)の仕事をずっとさせてもらっていると、前(メイン)のアーティストがいかに出てきて、すぐにいなくなるか!左から右へ使われてすぐにいなくなる姿に自分はなりたくない。息の長い演奏家で十分だと思った」

初心を忘れず継続し続けるNAOTOはこんな決意を発してくれたのです。

N「プロとしていつも100点のものを出したい。より100点に近づきたい!夢は?…“日本武道館”ライブです」

その後、前回紹介したカレーをめぐって、メール対談が実現。

Y「なんでカレーが好きやって聞くのん忘れてた!」

N「普通にカレーが好きやったけど、友人のミュージシャンが“色んな国、地域によって全然ちゃう”と教えられ、様々な種類のカレーを食べ始めました。国によってスパイスの種類・具材・出来上がりの形状が違う。毎日、毎食、食べても飽きが来なかったのと、元来の自分の性格が、ハマったことには深く追求し、そしてヴァイオリンと同じように反復練習で少し快感を覚えるところも拍車をかけたのかも…」今日もスパイスを効かせ脳天を刺激するNAOTOのプレイ姿が目に浮かぶ。

*ちなみにNAOTOの好きなカレーはスリランカ系、南インド系、タイのイサーン地方、札幌のスープカレーなどスープ状で油分が少ないの。元々和食が好きな彼にとって出汁文化が感じられるところに共感したのかも。(よしかわ・ともあき FM大阪くらこれ企画プロデューサー)

174naoto

NAOTOさんのニューアルバムのジャケット

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