183 映画「ゴジラ」音楽の誕生秘話 伊福部昭 ②

元祖“日本の怪獣映画”…と言えば1954年11月3日に封切られた「ゴジラ」。あなたはリアルタイムでご覧になりましたか⁉ヨッサンは東京・上野の映画館で…そう小学2年生、ハラハラドキドキやった。その音楽を担当したのがクラシック音楽界の重鎮・伊福部昭(1914~2006)。あまりにもインタビューがおもろいので今回は“枕ネタ?”を省いて早速、お聞き(お読み)頂きましょう。

I:伊福部昭  Y:ヨッサン

Y「子供から大人まで知っている“ゴジラ”。最初に“ゴジラ”の音楽を書いてくれと言われた時、どういう風に思われました⁉」

I「わりに…あの、北海道育ちなもんですから、ちょっと誇大妄想の所があって、荒唐無稽な話って好きなんですネ。それと爬虫類であんな大きくなるもんですからね。友人の中には“やるな!”って言ってくれた人が2、3人。

と言うのは、“女優さんでもお化け映画で「お岩」なんかやってしまうと、もう女優が終わりなんだ。それと同じように、あなた、怪物映画なんかやったら、それで映画音楽家生命が無くなるよ”と言われたけど、〝絵(コンテ)”を見たところ、あれでおもしろい。それと〝キング・コング”あったでしょ…我々の無意識にある不満のようなものをぶち壊していくのが心地よく…〈中略〉…それに子供が喜ぶし、ウチの子供もスチール観て喜んでおりましたので、子供が一所懸命観るんならこっちも本気でやらなきゃと」

Y「あの(ゴジラの)鳴き声、どうやって作りはったんです?」

I「東宝に効果部がありまして、鳴き声が凄いのは“ゴイサギ”だと言うんですね。(Y「ウチの嫁はんのあだ名にしたろか⁉」と内心思う)上野動物園の許可を得て、夜でないと鳴かないようで、“ゴイサギ”“ライオン”“象”とか色んな声を録音しました。

ですが、鳥は鳥類の音、ライオンや象は哺乳類。理屈を言うと“ゴジラは爬虫類”なんですよね‼僕は(昔)生物もやったもんですから、爬虫類…と言うのはあまり鳴かない!“ワニ”(爬虫類)って“バグァ”ってたまに鳴くそうですが、あと爬虫類は音出さないですね。そうこうしているうちに“ゴジラは背中は光る、火も吹く”んだと。そこまで言うんだったら声も出さなきゃならないだろう」

Y「で、どうやって?⁉」

I「結局は楽器で作った訳です…コントラバス(オーケストラの弦楽器で一番大きいやつ)、弦を糸巻きから1本だけ外して、皮の手袋にヤニ(コントラバスにつける)をつけて、“ワ~”っと引っ張るわけです。そうすると理屈っぽいですけど、弦には横振動と縦振動があって、縦振動で早くすれば“ギャ~ァ”遅くすれば“ウォ~”。色々とって(録音)、電線に(ゴジラが)引っ掛かって“かなわない(ビリビリ感電し手に負えない)”って時は悲しく聴こえるこの音を使う…とか」

Y「それにしてもあのテーマがよろしいナア‼」

I「ああゆう楽形がいいと思って書いたんです。〝ド・シ・ラ、ド・シ・ラ”の音階。それがオーケストラのメンバーは冷やかすのが上手ですから〝(ドシラではなく)ゴジラ、ゴジラ、ゴジラがそら出たぞ‼”って洒落れるんです。

結果として〝ドシラ”が〝ゴジラ”になりました…偶然に」

Y「ホンマかいな⁉文章なら最初に一行、DJなら最初の一言はなかなか出てこない」

I「そう!音楽というのは相撲と同じで、立ち上がり4秒なんです…勝負は‼特に短いのはそうですネ」

Y「ほんまや‼」

さて、今の子が(60年前のゴジラを)観たら“ちゃっちいナア”というか“じぇじぇじぇ”と言うか?!どやろナア。(よしかわ・ともあき FM大阪くらこれ企画プロデューサー)

183ifukube

ヨッサンもCDで愛聴している「ゴジラ伝説」ジャケット

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