056 被災した故郷でピアノコンサート 小山実稚恵①

日本を代表する現役バリバリのピアニスト…チャイコフスキー国際コンクール第3位、ショパン国際ピアノコンクール第4位と、2大国際コンクール入賞…といえば小山実稚恵さん。(5月3日が誕生日)彼女が生まれたのは宮城県仙台市、3歳の終りかけから岩手県盛岡市にお引越し。そんな彼女に2006年…モーツァルト生誕250年…にインタビュー。

K:小山実稚恵 Y:ヨッサン

K「玩具(おもちゃ)のピアノが家(ウチ)にあって…黒鍵がただ印刷されているだけで、黒鍵を押すと2つの音が鳴るという…おかしなピアノでしたが、あまりにも好きだったので、ピアノを習いに行く前、6歳の誕生日にアップライトのピアノを買ってもらいました。それでピアノレッスンに通うようになったんです。最初は近所の先生だったけど、母があるお教室の発表会を見にいったんですネ。そこの生徒さんが楽しそうに、全然違う感じで弾いていたので“ここがいいわ”って、それが私の最初の(先生)吉田見知子先生との出会いだったの」

Y「先生は厳しかった?」、K「やさしかった!ピアノを教えるのも素晴らしかったけど、どちらかと言うと教育者だと思う。音楽することの大切さとか、生き方とか、ピアノが上手になることだけでないことを…“ピアノは競争じゃない、自分より上手な人に喜んで祝福の拍手を送れるような心の広い人間になって欲しい”」

そんな吉田先生のもとで研鑚を積み重ねた小山さん。

1969年 TBS主催「こども音楽コンクール」第1位

1971年 全日本学生音楽コンクール、東日本大会小学校の部第2位

1972年 全東北ピアノコンクール第1位

1973年 全日本学生音楽コンクール、中学校の部全国第1位

盛岡には当時、いわゆるコンサートホールはなく、体育館や公民館のような場所で演奏会が行われていたそうです。あれから40年、まさか我が思い出の、心の故郷に…被災者のために励ましのコンサートをやることになろうとは…。

先日、小山さんのマネージャーからメールが届きました…

「この度の震災は空前の大災害に発展してしまいました。3月11日は私どもは函館で被災いたしましたが、それでも怪我もなく無事にやりすごすことができ、東北にいる小山の親戚・知人も無事のようです。しかし、後に知った東北の被災状況には、ただただ唖然とするばかりでした。小山は、おっしゃる通り仙台生まれの盛岡育ちですので、本当に心を痛め、何かしなければ、という思いに強くかられたようです。そこで、被災地へ音楽を届けるということを考え、現在は、以下のように被災地訪問を予定しております。

〈岩手〉5月10日釜石市立双葉小学校、5月11日または12日宮古市立磯鶏小学校

〈仙台〉5月13日八本松市民センター、5月14日片平小学校、六郷市民センター、5月15日ベストライフ仙台東、6月14日石巻市立湊小学校、石巻赤十字病院。

オーケストラとの共演や“12年間・24回ピアノリサイタルシリーズ”の合間に、被災地の方に音楽を届けたいの一念…名ピアニストなら演奏するピアノに非常に強いこだわりがあるにも関わらず、現地にあるものを、と仰っている小山さん。小山さんがいつもご指名の調律師杉浦さんもかって出てくれる、嬉しいじゃありませんか!

小山さんは3月11日の函館コンサートの次が青森の八戸、そして13日は愛してやまない盛岡のコンサートを控えていたのです。久しぶりに故郷の皆に会える喜びが…こんな形(被災地への慰問)で訪れるなんて…言葉もありません。(よしかわ・ともあき FM大阪くらこれ企画プロデューサー)

056koyama

小山実稚恵さんのショパン・コンクール・ライブのCDジャケット (1985年)

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