さ~て皆さん、次の平仮名を“それなりに大きく”声を出して読んでみて下さい!いいですか⁉
“あえいうえおあお・おあおえういえあ”“かけきくけこかこ・こかこけくきけか”さ行、た行と続けてみて下さい。
いかがですか⁉ヨッサンが“851DJアカデミー”(1996年~2007年)を開講していた時に、まず基本中の基本…発声練習のテキストの最初のページがこれです。
“ちゃちぇちぃちゅちぇちょちゃちょ・ちょちゃちょちぇちゅちぃちぇちゃ”をすんなり言えたら大したもんです…が、これだけではDJ・アナウンサーにはなれません。基礎から応用までよ~けあるんです。
その応用実地訓練が済んだ…からと言ってプロ誕生!となることは出来ない…でも可能性はある。難しいのは指揮者。ヨッサンも割り箸握って音楽にあわせてしっちゃかめっちゃか振り回す…ええ運動ではありますが。
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さて、国際的に活躍されている指揮者・湯浅卓雄さん63歳…日本よりもヨーロッパでの人気と実力の持ち主は、何と大阪は枚方生まれでバリバリの大阪弁、同志社香里高校からアメリカへ。シンシナティ大学作曲理論科を経て、ウィーン国立音楽大学指揮科で(名調教師の誉れ高い)スワロフスキーに師事。
が、在学中にスワロフスキーが亡くなった。(1975年)それからどうしたのか…。
2005年、ヨッサンは湯浅卓雄さんにインタビューし、それ以降、一献傾けあう仲となった。
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その彼のインタビュー中、信じられない師弟の火花が散るようなレッスン話を聞いたのです。
T:湯浅卓雄(たっくん…と呼ばれている)、Y:ヨッサン
T「先生が亡くなって、どうしようかと思った時に、色んな人から鬼才マルケヴィッチ先生(今年生誕100年)の話を聞き、早速、先生のフランスのお家まで行って、しばらく滞在し、レッスンを受けました。
鷲の(というか)鷹の鋭い目の持ち主で、彼は、その頃、耳が悪かったんですよ。ほんで、レッスンは…彼と私が向かい合って、私が音なしで振るんです。(Y「は~ァ??!」)お互いが頭の中で聴こえてる音楽でやる訳ですね」
普通、指揮伴(指揮練習の人のためのピアノ伴奏)がいて、練習生が指揮棒を振って、ピアノ奏者がその指揮にあわせて演奏していく…それを先生が横で見て聴いてアドバイスをするんです。
が…、マルケヴィッチと湯浅さんのレッスンは違うのです。
広いリビングルームのチェアに座る師匠。起立して師匠にお辞儀。湯浅さんが指揮棒をやおら振り下ろす…緊張の瞬間…が、あたりは誰もいない…架空オーケストラに向かって指揮棒がうねるように大きく~ある時は背を丸めて小さく~空を切っていく。お互いの“頭の中に”同じ曲の譜面が置いてあり、師匠と弟子の頭に同じ音楽が響いていくのです。(???)
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T「で、眼光鋭い彼の目は私が指揮している振り方を見て、“違う‼”って言うんですよ。“そこはクレッシェンドや!”ゆうんです。“そこはおかしい!なんで、そこの左手はそんなことをするのか⁉そこはなんもない(表情記号がついてない)のに、何を考えてやってるのか⁉そこはスフォルツァンド(特に強く)や!…”音がないんですヨ。まったくの静寂の中でやるんです。だけど、お互いに音楽の姿が見えるんです」(???…ただし、師匠はフランス語です大阪弁ではありません)
想像してみて下さい。凄すぎる光景…師匠と弟子の緊迫感溢れる対決‼我々凡人には考えられない“無の音楽空間”です。こんなぶるぶる震える思いは初めてでした。(よしかわ・ともあき FM大阪くらこれ企画プロデューサー)
ヨッサンのFM大阪くらこれ企画のホームページ表紙にもご登場いただいている、湯浅卓雄さん(右)