025 「およよ」の方との語り合い 鳳 蘭①

なにわのヨッサン とっておきの【音楽交遊録】・・・・吉川智明(025)

大きな目、大きな鼻、大きな口唇、大きな身体(170 cm )大きな声、そしてそしてスケールの大きな演技。1964年に宝塚歌劇団に入団…なんとたった6年目での星組トップスター… その名はツレちゃんこと鳳蘭。1976年「ベルサイユのバラⅢ」の“フェルゼン”役や19 77年「風と共に去りぬ」の“レット・バトラー”役のカッコよさは今もヨッサンの目に焼きついています。

そんなツレちゃんが、わが番組「タカラじぇんぬ」で会いたい人で指名したお人は桂三枝さん。丁度「ベルバラⅢ」を上演中のお休みの日にFM大阪へやって来たツレちゃん。一方、ナンバ花月に出演中の三枝さんはタクシーを飛ばしてやってきました。お互いに以前から知り合いだったので終始なごやかで打ち合わせもほどほどに。

本番も丁々発止と進んでいきます。当時30 歳のツレちゃんと33 歳の桂三枝さん。

三枝「僕は学生時代に、はじめは母に(宝塚)連れていってもらったんです。10 年ほど前ですけど。でももう20 年ほど前からツレちゃんのファンでした。(いかにも冗談)」

鳳「えっ?ソレどういうことになるの?私、舞台に立って10 年ちょっとなんです」

三枝「ところで公演中はいつごろ入られるんですか?」

鳳「楽屋ですか?1時間半前です」

三枝「僕、ちょっと聞いたんですけど、ホントは1時間位前なんでしょ?」

鳳「普通は30 分前に入ればいいんです。(さすがトップスターや心構えがちゃう…とヨッサンの声)」

三枝「フェルゼンのお衣装が7 回か、かなり変わってましたね!」

鳳「7~8回…」

三枝「着替え大変でしょ。衣装がまた綺麗ですね。僕、前から3番目で見たんですけど、周りは凄い人でね。びっくりしたのは今回の公演には小学校の女の子が多かったですね」

鳳「多いです」

三枝「僕が座ってたら“三枝さん、ツレちゃんのファンなんでしょ”って。“ 君は誰のファン”って聞いたら、“オスカルのファン”“ フェルゼンのファン”とか、原作の主人公のファンの女の子なのね」

鳳「そうなの。楽屋に来る差し入れも、今まで『鳳蘭さま』『安奈淳さま』『榛名由梨さま』とかいうてたでしょ。それが今月は『フェルゼン様』とか『いとしいオスカル様』とか、役名で来るんです。ファンレターも『いとしいフェルゼンさま、あなたのことを思う時』とか」

三枝「舞台の中で、僕のギャグの“みじめ”っていうの侯爵夫人がやられるでしょ。客席が沸いた時、僕も嬉しかったですよ」

鳳「そうですか!勝手に使わしていただきました。あの日、三枝さんが見ますよっていうので、あの役の水代玉藻さんが、大丈夫かしらって心配してね。“みじめ”ってギャグ一番受けるんです」

三枝「全体的に、真面目な、甘い恋のムードですからね、その中に(ギャグが)入るから受けるんでしょう」

鳳「もう大爆発‼」

最後に三枝さんからツレちゃんへこんなメッセージが…

三枝「ツレちゃんとお話していて非常に感動したことがあるんです。『私はいろんな役が来ても、役について文句一つ言ったことがない。どんな役でも一生懸命やっているんだ』というようなことを仰ったんです。ツレちゃんっていうのは、特に生まれた素質と一生懸命やっていう熱意をもった、ひたむきな人ですね。舞台人はそれが大切だと思いますよ。そのあとのことは小さなテクニックだと思うんです。(ええことゆうワ…三枝さん‼)」

葉巻をくゆらせながらの三枝さん。マイクの前以外では実にスローテンポの話し方で当時から貫禄十分。口数もそれほど多くない…正直にいいます‼“とっつきにくいお方でした…およよ‼ (よしかわ・ともあき F M 大阪くらこれ企画プロデューサー)

otori

ツレちゃんこと鳳蘭さん(記念のサイン入り)

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