なにわのヨッサン とっておきの【音楽交遊録】・・・・吉川智明(022)
私は誰でしょう?
「私はこの間、8月29 日で還暦を迎えました」「私は女です」「私の本名は橋本明子です」「私の職業は歌手です」「私のジャンルは演歌です」…如何ですか⁉ フム…フム…「私は画家としても有名になりました」「私(の顔) は厚化粧だと言われます」… “あっ!分ったで‼”の声が聞えてきそう…。
「私の出身地は熊本県八代市です」「私のデビューは1971 年。来年が40 周年です」「私は、1973年の“なみだ恋”の大ヒットで脚光を浴びました」… もうお分かりですネ!!?八代(やつしろ)市生まれなので芸名を八代。明子を亜紀にしたのです。
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そんな八代亜紀さんにお会いしたのは1982年7月。ヨッサンは八代ファン…そう八代演歌心酔者だったのです。なんと言っても「バッハ・オルガン全集」「ベートーヴェン交響曲全集」のカートンボックスの隣には「八代亜紀大全集」(1981 年6月25 日発売)が立てかけられていたのです…ホンマですヨ。どうして八代さんとご対面できたのか?
こんな裏事情がありました。
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さてさて、夫婦の間柄は、年を追って“霞”や“空気”みたいになって来る…なんていいますヨネ⁉妻に対する“ヨージ(用事)”も少なくなって、歯が悪くなってくると食後の“妻楊子”…もとい“爪楊子”の方があり難くなってきます。
その“爪楊子”の生産が、全国の約90 %のシェアを占める町が…河内長野市。その河内長野市は、まさに歴史と自然が息づく、いながらにして大自然を満喫できるところ。楠正成公とゆかりの深い観心寺や多くの文化財がある金剛寺。
そしてヨッサンの番組「愛のハッピーモーニング」のスタッフが目指すのが、桜の美しい河合寺――の向かいに広がる自然の中の民芸料理の店「白樫亭」。いやはやビックリ、10 メートルもあろうかという案山子がお出迎え。30 石樽(酒3000 本分)を横にして=食事部屋に。この酒樽の中で“ジンギスカン”“楠公鍋”をタップリと満喫…スタッフは皆歓…それをいうなら快感‼
そんな白樫亭のご主人芝本さんとのインタビューを終えての会話から…な、何と八代亜紀の特別番組を制作してオンエアする話(商談)がまとまったのです。まさに“棚からぼた餅”“瓢箪から駒がでる”“犬も歩けば棒に当たる”“蝦(えび)で鯛を釣る”“類は友を呼ぶ”…??
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酒樽の中で鍋に舌鼓しながら…
吉川「舟歌のように“ぬるめの燗”がよろしいナア‼」
芝本「あんた(吉川)八代さん、好きかいな?」
吉川「ベートーヴェンやブラームスのシンフォニーの後は八代演歌でグビッとやるのが大好き人間ですねん」
芝本「八代さんの歌、ホンマよろしいな!」
吉川「そら、いつまでも飽き(亜紀)ませんワ⁉」
芝本「1回、お目にかかりたいなア!」
吉川「今度、彼女のコンサートありますヨ!」
芝本「行ったって会われへんしナア」
吉川「ホナァ特別番組つくりまへんか? (と、冗談99 %)スポンサーになったら会えますやん!」
芝本「(フム~)ヨッシャ~!」
それから数カ月後、ホンマに実現したのです。これが芝本さんの念願のスナップ…決して厚化粧やない八代さんと。( 後日、白樫亭を訪れて、このスナップ写真を見て仰天!白樫亭の庭が背景になって飾ってありました。あたかも八代さんがやって来たかのように…唖然)
こうして、厚生年金会館大ホールでの2日間で行われた八代亜紀コンサートの密着取材が始まりました。楽屋風景から舞台裏、観客席…デンスケ担いでエッチラ・オッチラ。インタビューからライブ収録、それにCMナレーションまで…遂に八代特番の完~成で~ す。(よしかわ・ともあき FM大阪くらこれ企画プロデューサー)
右からヨッサン、八代亜紀さん、芝本さん。